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2009年8月3日月曜日

period/少女病-葬月エクレシア

失くした過去は記憶の中

どうしてこんなにも

美しく再生されるのだろう


手に入らない未来を

どうしてこんなにも

求め続けてしまったのだろう

逃れるように


全ての旋律(melody)は色を無くし

手のひらから零れていった


失い続けていた

綻びに気づかぬまま

大切な娘の声も今は 記憶へと消えて……


手の届かない幻想に

どうしてこんなにも

心奪われ続けたのだろう

呪いのように


いつかの旋律は月に溶けて

手のひらには何も残らず……


失い続けていた

自らの存在さえ

愛してた精霊姫(Alice)の居る世界は もうなかったのに……


『死の先にあったはずの未来。そうあるべきだと信じた明日。

全ての生は不平等に。全ての死は平等に……』


「嗚呼──」


『黒い雪は、何もかもを覆い隠すように、いつまでも降り続ける。

それは、悲しいまでに美しいシークエンス』


どこまでも失い続けていた

過ちに気づかぬまま

大切な家族のいる空まで 僕もさあ行こう……


無慈悲な 黒雪は静かに

視界を 埋めて……

葬奏/少女病-葬月エクレシア

『天使の創造したこの場所に集うのは、死へと向かう欠落した少女達。

負の魂を月へと葬り、命の失われた精霊体に注ぎ込むことで再生を果たせると言われている教会。

時は満ちた。

愛する精霊姫が、再び微笑んでくれる日が──』


狂... 狂... 廻っていく雑音

泡沫 朽ちていく魂

怨嗟の声は 誰に向けてのものか

月か天使か?


「精霊姫との間に生まれた娘にも、寂しい思いをさせただろうか。

でも、これからは……」


降... 降... 黒雪は羽根のように

ひらひら 無数に舞い散り……

怨嗟の唄は 誰に向けてのものか

愚かな我か?


「この瞬間のためだけに、優しい導き手を演じてきた。

半精霊である娘にまで手を汚させて……。もう、戻れない」


愛するが故 堕ちた欲望(desire)

幾重に纏う 深い原罪(ハマルテャ)

渇望の果て 犯した行為(act)

数えきれない 憐れな犠牲者(victim)

原型もなく 枯れゆく天人花(ミルテ)

霧散していく 儚い理想(ideal)

緋色に暗く 歪んだ悪意(vicious)

月に飲まれた 微かな旋律(melody)


愛するが故 堕ちた欲望

幾重に纏う 深い原罪

渇望の果て 犯した行為

数えきれない 憐れな犠牲者

原型もなく 枯れゆく天人花

霧散していく 儚い理想

緋色に暗く 歪んだ悪意

月に飲まれた 微かな旋律


『少女達は緩やかに死んでいき、精霊姫は再びその体に魂を灯していた。

永く眠っていたとは思えないほどに、変わらない笑顔。

精霊姫は言葉もないままに、娘を強く抱きしめる。

涙をこぼしながら、優しく娘の首に手をかけ、

止める間もなく、絞め殺していた……』


狂... 狂... 崩壊の輪舞曲

全てを取り戻すために……


「悪い夢はもう終わりましたか──?」


『精霊姫(Alice)に宿ったモノは本当の彼女などではなく、儚く散った少女達の失われた魂で……』


「だから、さようなら」


『娘の命を奪ったその手を見せ付けるようにして薄く笑い、そのまま舌を噛み切っていた。

できることは、ただ呆然と立ち尽くすことだけで……』


「天使は、優しくなんてなかった」

廃墟に響く刹那の叫び/少女病-葬月エクレシア

『死に向かって進んでゆくimage。

生まれた瞬間からの孤独。

束の間の祈りは、届く空さえなく……』


一人なのは淋しい 

月の明かりは 暗く… 怖い…

けれど誰の傍にも

居たくなかった 気づいて


私に誰かの代わりはできないと

いつかは本当の私を 見て欲しいよ

あなたが夢見る過去には

望まれていないとわかっているけれど

せめて今は私を愛して欲しい……


寒い夜は恋しい また一人きり

立ち位置を確かめるように

瞼を閉じる


苦しい壊れた心の居場所はあるのかな?

私が私でなければ 良かったのに

あなたの視線の先には

いつだって私の姿などなくて

だから今は月夜にただ祈りを……


『詩的に変換された幾つもの夢。

絶えず訪れる死への衝動。

廃墟に響く雫のような、刹那の叫び』


「―――ねぇ、気付いて」


私に誰かの代わりはできないと

いつかは本当の私を 見て欲しいよ

壊れた心の居場所はあるのかな?

私が私でなければ 良かったのに

あなたの視線の先には

いつだって私の姿などなくて

悲しいけどもうすぐ全て終わる

そう願い今は眠ろう──

2009年8月2日日曜日

method/少女病-葬月エクレシア

歪な十字架(クロス) 傾ぐは聖裁

甘い喪失は薄氷の上で


取り戻すのは 手のひらから零れ落ちたあの日々

眠れる聖柩(Ark) 色褪せずに時を止めた 美しい乙女(Alice)


狂える月に舞え 白の魂(ミクターン)

すべてをキミへと葬ろう

愚かしい過去も 消してしまえばいい

幸せだった記憶だけを 心に宿して

やりなおせるさ もう二度と壊しはしない

愛しいキミに 嗚呼……会いたいから


失墜の雨 憂いを流して

旧い薔薇の園まで仄蒼く


禁忌は常に 破られるためにだけ在るモノだと

絶氷の聖柩 キミのためにそう決めたよ 麗しの乙女


溺れるように飛べ 白の魂

必ず空まで届けよう

忌まわしい悪夢は 捨ててしまえばいい

出会った頃の二人だけを 心に灯して

もう大丈夫 過ちは繰り返さない

愛しい精霊姫(Alice)──


狂える月に舞え 白の魂

すべてをキミへと葬ろう

愚かしい過去も 消してしまえばいい

幸せだった記憶だけを 心に宿して

やりなおせるさ もう二度と壊しはしない

愛しいキミに 嗚呼……会いたいから


「少女達は尊い犠牲者となるだろう。

キミのために失われていく幾つもの魂。罪ならいくらでも背負おう……。

二人が再び出会うために。忌まわしい悪夢から覚めるために」


『止まらない死の連鎖……狂っているのは、きっと月だけじゃなくて──』

記憶の残像/少女病-葬月エクレシア

病気で苦しむ母の顔を 見なくて済むのは

少しだけ嬉しいわ けどそれ以上もっと

悲しみは止め処なく 溢れて零れそうになるけれど


優しい笑顔で 髪を撫でてくれたこと

昨日のように覚えてる

ねぇ……ずっと

愛しているって 抱き締めてくれたことも

もう何もかも せつない思い出になって……


あなたの誇れる 娘であろう

沈んでばかりじゃ 不安よね?

天国で 安心して見てて

大丈夫 母さん似で 芯は強い子だよ


心配しないで 私はこの教会で

神様の下祈るから

ねぇ……ずっと

見守っていてね この場所に馴染めるように

ほらたくさんの 家族が増えたから平気……


優しい笑顔で 髪を撫でてくれたこと

昨日のように覚えてる

ねぇ……ずっと

愛しているって 抱き締めてくれたことも

もう何もかも せつない思い出になった……


「ここには、私と似たような境遇の子たちがたくさんいた。

身寄りのない子や、どこか影のある子、少し感情の乏しい子。

けれど、きっと仲良くやっていけるから。

大丈夫、大丈夫って。自分に言い聞かせるように……」


『かけがえのない存在の消失。もう戻れない日々。

透明な雫が、足元に零れ落ちていた──』

優しい雨音/少女病-葬月エクレシア

香る花の名を教わりながら

教会 目指してゆく

咳き込む母親 背中をさする

頑張ろう。もうすぐ……


教会で お薬を

貰えば良くなるよと

細い手を 握り締めて

笑うけれど 怖かった


楽しいから笑うとか そんなことじゃない

涙を零さないための笑顔だから……


日々の食事にも 困るくらいに

ちょっぴり 貧しくても

小さな幸せ ささやかだけど

沢山あったよ……


辛いとか 不幸とか

思ったことないよと

細い手を 握り締める

痩せた指が せつなくて


空が泣いているように 咲き誇る花に

無数の雨音が淡く落ちて詠う……


「今日あるものが、明日もあるとは限らない。

そんな当たり前のことに、今更気づいてしまった。

もっとあなたと見たい風景がある。語りたい夢がある。

たくさん甘えてもみたけれど、まだまだ足りないよ……

だから──」


楽しいから笑うとか そんなこと じゃない

涙を零さないために笑おう……

Sanctity/少女病-葬月エクレシア

『とある大国の姫君が心を揺さぶられたのは、出自も不確かな優しい瞳の青年。

音楽の余韻のような、軽やかな胸の鼓動。

痛みはどこか心地良く、拒むことは罪のようにさえ思えて。

──それは多分、最初で最後の恋』


渇いた心(heart)を奪った その唇に溶けたくて……

何処までいっても満たされぬ 感情に溺れた


どんなに幸せな日でも

いつかは失い 壊れていくもので

それなら夢みることなく 心を隠して 生きようと決めた


手に入らないモノなんてなかった でもただ虚しいだけ

世界の色を変える程の幻想

刻まれた 出会いの夜に……


「紡がれる透明なセンテンス。抗えぬ甘美な声……」


尊く偉大な姫だと 人々は称えるけれど

苦しいくらいに突き刺さる 重圧に溺れて


誰かに依存したかった

求められるより 求めたいと願い

誰かを想う悦びを 教えてくれたね 残酷な貴方


悠久の蒼 他愛ない言葉も 甘い音色のように

世界の色を変える程の幻想

刻まれた

貴方が望めば 全てを捧げると

誓った指輪(わ)に


失うのを恐れた怯えたまま それじゃあ虚しいだけ

そう語る横顔は どこかせつなく 遠くを見据えて


どんな他愛ない言葉も 甘い音色のように

世界の色を変える程の過ち

刻まれた 心の奥に……


「青年が姫に求めたものは、天使が創ったとされる聖なる教会。

理由など問われることもないままに、教会は彼の所有物となった」


『世界は続いていくよ。はじまりはここから──』

忘却の鐘が響く前に/少女病-葬月エクレシア

夕凪に霞む時計台 針音は時を刻み

はじまりから終わりを告げる この国の象徴


夜明け前 響く忘却の鐘

その一日に得た 嫌な記憶を

螺旋の彼方 しまうように

隠してくれる奇跡


選ばれた時計士 嗚呼 いつからだろう

貴方との運命の針が

動きを止めて 静かに

離れていた 心が通わぬほど遠くまで……


突然の別離の言葉は 心音に掻き消されて

ただ去り行く時計士の背だけ 呆然と見ていた


大切な 二人過ごした時間

貴方を愛してた 記憶全てを

ほんの少しも 失わずに生きたい

だから……私


鐘は鳴ることなく 嗚呼 時を止めて

時計台の下には 落ちた

時計士だった 死体が

目を見開き 虚ろに倒れていた──


ずっと忘れないから 最期の別離も全て

仕方なかったと 貴方わかってくれるでしょう?


選ばれた時計士 嗚呼 いつからだろう

貴方との運命の針が

動きを止めて 静かに

離れていた 心が通わぬほど遠くへと……


『時計士である少年が最期にみたのは、薄く笑う恋人の姿。

その瞳に悲しみの色はなく、ただ記憶だけを慈しむかのように……。

二人の愛は、永遠になったのだろうか──?』

星降る夜/少女病-葬月エクレシア

『今宵教会へと誘うのは、たった一人の母親に蒸発され、行き場を失った少女。

心配して同行を望むのは、唯一の友人であり幼馴染でもある優しい少女。

手を取り合って歩いてゆく。

その先には、望む場所がきっとみつかるはずだから──』


静謐な森の中横たわる 少女の涙は枯れ

行き場もなく差し伸べられた 細い声にすがって

誰よりも傍にいたクルファ

その瞳に映る現実が 優しいものではなくても

私が護るから


星降る夜に揺れた

絹の陽炎 煌めく中空

数え切れぬほど 丘を越えて目指した

月音辿るように


私には精霊を視ることが なぜだかできないまま

けど気配は確かにあって 存在だけ理解った

誰よりも親切なエルザ

繋いだ手はいつも優しくて まっすぐ純粋な想い

心に痛かった


星降る夜交わした

小さな約束 忘れないよ

遠く離れても 同じ空を見上げて

必ずまた会えると……


『険しい旅の果て、二人は白の教会へと辿りつく。

ここでなら生活に困窮することもない。

周囲の人間達から同情的な視線を向けられることもない。

やがて訪れる別れの時──

また会える、遊びに来るからと約束するエルザ。

けれど、クルファの心はそんな約束を素直に受け止められないほどに、歪んでいて……』


どこで歯車狂って 廻りはじめたのだろう?

罅割れたモノは脆くて 音無く崩れた……


嗚呼...嗚呼!


星降る夜に揺れた

絹の陽炎 煌めく中空

数え切れぬほど 丘を越えて目指した

月音辿るように


「優しいふりをして自己愛を満たして、幸せなことでしょう。

私はここで生まれ変わる。視える者と視えない者。

私はあなたとは違う。──違うんだ」


『少女の目に映るもの全てが歪み始めていた。

生きていくということは、苦しくて……恐ろしくて。

前と同じようには、もう笑えないだろう。

失ったものの大きさに気づいた時、少女は何を想うのか……?』

2009年8月1日土曜日

十四行詩の輪環/少女病-葬月エクレシア

『限られた存在にしか視認することができないと伝えられる半精霊。

その姿を見た者には、等しく祝福があたえられると、そう信じられていた──』


荘厳な歌が響く 水辺に映る夢は甘く

風の轍 描き出す白の悪意(vicious)


天使によって 残された奇跡

白の教会 静寂の中に

鳴かない子猫は 冬の方角へ

いつかの旋律 架空の声乗せて


雨に濡れた

少女は琥珀の風を追いかける

無垢な素足を躊躇うことなく 穢して


終わりなき夢の欠片

虚構にも似た 儚い空

キミだけに指し示そう 再生の物語


揺るぎなき運命の輪環(ring)

終焉の先繋がれた神秘

選ばれたキミにだけは 精霊の祝福を……


『まだ幼い半精霊の少女は、その声に応えた者達を、

主の求めるがままに白の教会(エクレシア)へと連れ集めてゆく、

美しくも残酷な夢を魅せて──』


変わりたいなら 逃れたいのなら

月に祈りを 導きのままに

飛べない鳥は 苦しげに謡う

嘆きの旋律(melody) 無音のユメ越えて


切り裂かれた

幻想は純白の闇に囚われ

無垢な心を疑うことなく 晒して


叶わない夢の彼方

病める魂 葬る役割

いつだって物語は 現実より綺麗で……


玲瓏に響く言葉

祈りにも似たその囁き

キミだけに届くように 紡ぎだす物語


積み上げてた小石を崩すように

脆弱なモノを壊すことは悲しい


終わりなき夢の欠片

虚構にも似た 儚い空

キミだけに指し示そう 再生の物語


揺るぎなき運命の輪環

終焉の先繋がれた神秘

選ばれたキミにだけは 精霊の祝福を……