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2009年8月1日土曜日

セクサリス/少女病-偽典セクサリス

夢から覚めるなら

すべてを抱えてく

想いはひとつだけ

夜がくるまで 亡き世界に沈みたい


この場所へ流れ 生まれ堕ちた

その理由にやがて気づく


幾つの夢 越えていくのだろう

今はまだ、終わりが見えない

それは淡く儚い 記憶の

導く詩


夢から覚めるとき

この世の果てにある

ここからあたらしい

世界が生まれ 終わりの先へ繋がる


この場所は散った 星を宿し

もう一度空へ誘う

紡ぎ手は詠い 夢を語る

再生のための終わりを


幾つの夢 越えていくのだろう

幾つの死 越えていくのだろう?

それは淡く眩い 生命の

遠い残光


「ここからまたいつの日か、世界ははじまっていくのだろう。

少女の見る夢から再生される、新たな星」


『その世界の名は、セクサリス』


「今はまだ、永い夢の中に眠って……」

Karma/少女病-偽典セクサリス

「薄汚れたこの世界を両の眼で捉えることが耐えられないから、僕はこの手で右目を抉った。

けれど、何も変わらない。

世界は緩やかに壊れていくし、七色にみえていた硝子細工は輝きを失った。

ラフィルに出会ったのは、そんなくすんだ日々の中。

偶然という名の必然。多分、僕らは魂の同じ部分に傷を負っている」


瞼を閉じていても 視力などなくとも

飛び込んでくる程の 眩い光があることを

僕はずっと知らずに 生きてきたのだろう

そのか細い光は 触ると溶けてしまいそうで……


最初に映したのは 一片の言の葉

立ち尽くす僕は ただ頷き笑った

密かに交わしたちいさな約束


その歌声をどこまでも響かせる

ラフィルの紡ぐ 透明な旋律

閉ざされたこの場所から 遥か彼方へ


「この世界でたった一人しかいない天使の末裔、ラフィル。

僕はその少女の唯一の従者にして共犯者であることを許された存在。

彼女の歌う歌の本当の意味を知っていてなお、ゼロに乗せて世界に届けている。

けれどこれだけ傍にいても、ラフィルの笑顔だけは一度も見たことがなかった。

少女は鳥篭の中で、ただ歌い続ける」


蒼夜が来るのに怯え 小さく震えてる

篭の中囚われた 少女は人を恐れていた

その背に翼はなく 瞳は儚く

白い細い光は いつしか消えてしまいそうで……


最後に語ったのは 終わりへの方策

聞き終えたキミは 唯小さく笑った

僕に向けられた、はじめての微笑


その歌声をどこまでも響かせる

ラフィルの紡ぐ 透明な旋律

閉ざされたこの場所から 遥か彼方へ


その歌声は心へと溶けてゆく

紛うことなき 天上の言語で

灰暗い幻想から 空へ誘う


「天使の歌声を、最も深いところに届かせるための手段。

少年は、その方法をラフィルにそっと打ち明けていた」


「今日という日が、僕らにとっての記念日になるんだ」


「聞こえるかい、ラフィル。君の歌を待ち望んでいる貴族達がお集まりだよ。

さあ、はじめよう。そして、終わらせてしもおう……」


「静寂の中、ステージの幕はあがる。

少年はそれを見て、どこか悲しげに微笑んだ」


「僕は嘘つきなんだ。

世界に存在する全ての物語が嘘であるようにね」

2009年7月31日金曜日

鳥篭から紡ぐ終焉/少女病-偽典セクサリス

「空は遥か遠く、どんなに手をのばしても届きそうにない。

ある大国の貴族達の保護の中、私は生かされていた。

許されたのは、ただ歌うことだけ」


冷たい夜 無慈悲に訪れる闇

鳥篭は静かに揺らされ続ける

早く夜が終わればいい

そしたらまた 世界のための歌を歌おう


白銀色の天蓋 虚飾の鐘楼

窓辺に佇むのは 徽章なき従者

欠落した幻想 残更の天秤

天上の言語で祝福を紡ぎゆく


仮初めの声 緋色に割れる虚空

自由への渇望は 生まれた瞬間に忘れた

保護という名の束縛された日々

翼を失くしたのはいつのことだっただろう?


「天使語というだけで、そのメッセージに祝福が内包されていると、

身勝手な錯覚をする人々。

私が祝福を歌うことに、どんな意味があるというのだろう。

救われたいのは、私も同じなのに」


「旋律(Melody)はどこまでも響き、誰もが空へ希望を求め、飛んでいく。

決して届くことのない空。

雲間から射す光は、残酷な程に優しくて……」


胡乱な日々 無慈悲に枯れゆく花

鳥篭は無粋に穢され続けた

早く夜が終わればいい

そしたらまた 静かに歌っていられるのに


砂のない砂時計 朽ちかけた回廊

窓辺で微笑むのは 隻眼の従者

欠落した感情 傾く天秤

天上の言語で終焉を紡ぎゆく


仮初めの声 緋色に割れる虚空

自由への渇望は 生まれた瞬間に忘れた

保護という名の束縛された日々

翼を失くしたのはいつのことだっただろう?


空は落ち この世界は朽ちる

その前にわたしなりの終焉を紡ぎたい

だから今 言葉に想い込め

蒼穹に歌う


「全てが終わるとき、不可視の箱舟は私を乗せて空へと還る。

その瞬間はもう、すぐそこまで近づいてきているのだと。そう、信じて……」

fly/少女病-偽典セクサリス

「ラジオをゼロにあわせて。天使の歌声が指し示す場所で、ボクはキミのものになる……」


凍てついた星空 遠い日の雪解け

蒼穹に還りゆく 追憶の譚詩曲(Ballad)

古びたラジオを ただゼロにあわせる

流れ出る歌声は 祝福の幻想歌


その声音は花のように その吐息は霧のように

たおやかに咲き誇り 僕らに浸透していく

この世界でたったひとり 生存する天使の血族

柔らかに紡ぐ天使語は はばたくように響き渡る


繰り返す再生は 希望への跡先

地に空落ちるなら この旋律で迎えよう

僕達を魅了する 天上の歌声

夕闇に見る幻は 空に舞う白い翼


旋律(Melody)はどこに向かい 消えてゆくのだろう?

最後まで聴いていたい 叶うなら

現実と夢が溶けて ひとつになる瞬間

僕達は一筋の風になる


「現実は夢の中に。そして幻想もまた、夢の中へ溶けてゆく。

天使の言語は、銀色の月に反射した。

優しく、ココロの奥底へ、語りかけるように……」


色あせる輝き 逝きし世の面影

蒼穹に還りゆく 幻想の蜃気楼(Mirage)


繊弱やかなセンテンスの指し示した道筋には

七色に煌いた 虹の橋が架かってる

すぐにだって飛んでゆける この旋律(Melody)の向かう場所まで

柔らかに紡ぐ天使語は 誘うように響き渡る


厳かな夕凪は 終わりへの餞

世界が朽ちるなら この旋律と迎えよう

思春期の僕達は 天上の言葉に

導かれるように高みへ 羽根広げ空を目指す


旋律(Melody)はどこに向かい 消えてゆくのだろう?

最後まで聴いていたい 叶うなら

現実と夢が溶けて ひとつになる瞬間

僕達は一筋の風になる


「あらゆる場所で、少年少女達が不審な死を遂げていた。

高所からの連続飛び降り自殺。

まるで空を飛ぼうとするかのように、背中に羽根があると錯覚したかのように。

識者はその症状を天使病と呼称。原因は、未だ不明とされる」

白亜の檻/少女病-偽典セクサリス

月に輝く白亜の壁は 全てを拒むように高く

祈りひとつも通さぬほど整然と街を囲む

少年は壁に耳を当て 外界の世界を想う

果てなく広い草原 煌びやかな水音

笑顔の絶えない家族 優しかった兄の横顔

けれどその記憶は古びた絵本のように遠く……

夢のようにおぼろげで不確かなものだ

少年少女達はこの街に幽閉されていた


「ここから外へ出ることは決して叶わない。

日々同じ時刻に届けられる食事は、

たったひとつだけある街の入り口から

白装束の大人たちが運び込む。

無言の彼らは淡々と、その作業に徹していた」


僕らは受け入れている 外の世界の風は

死の病に侵されているから

感染していない僕らは、この地で守られているんだ


隔離された僕らは、この場所からはじまっていく

約束の地に残された 選ばれし存在

七色の硝子箱 両親にもらった宝物

抱きしめて生きてゆこう

それが運命ならば


「隠蔽された真実。踏み込んではならない禁忌。

聡い少年はやがて気づいてしまう。

病んでいるのは世界ではなく。

……壁の中にいる少年少女達自身だということを」


『約束の地なんて、どこにもないのだから……』


選民という幻想 世界から遺棄される

真実いつだって残酷で

僕らは捨てられたのだろう この白亜の檻の中に


行き場のない苛立ち 大人たちの白装束は

僕らのためなんかじゃなく

彼らを守るもの

衝動に任せて 彼らの仮面を剥ぐ

その下にあったのは

涙に目を腫らした、母親の姿だった……


捨てられたわけじゃなかったんだ

ずっと傍にいてくれた

大人たちは皆少年少女達の家族で

死に向かう僕らを見守ってくれてた


近くて遠い距離 手の届く場所にいるのに

触れることは許されない

これは運命だから

けれど母親は僕の、流れる涙を拭って

躊躇わずに抱きしめた

ずっと離さぬよう……


「病に冒された子を抱く母親の目はとても穏やかだった。

少年は懐かしい匂いのする胸の中で眠る。

母親と触れ合ってしまっているという事実に絶望するのは、あと何秒後だろう?

嗚呼、この瞬間にも、母親にまで死の病が……」


『どうせ世界は終わるのに……』

死の黒鍵、生の白鍵/少女病-偽典セクサリス

薄荷色の宝石を閉じ込めたみたいな瞳で

捉える世界はどんな形?

架空の物語はいつだってあなたの傍に

眠りながら死を語る、黒の精霊


玻璃色に優しく澄んだ聡明な瞳で

捉える世界はどんな形?

創世の詩は幾千の聖句を孕む

眠りながら生を説く、白の精霊


幻想の枢軸は刹那

音もなく波紋伴い歪む

紡ぐのは透明な小夜曲(Serenade)


繋いだふたつの手のように

絡み合う運命の螺旋

鏡の向こう側で鍵を重ねたら

終わりの先が見えるのかもしれない

かかげたふたつの手のように

求め合う悠久の螺旋

虚飾の月は翳りやがて終焉を告げる

白と黒の回帰線


幻想の枢軸はいつか

幾重にも淡く重なり積もる

描くのは双星の小夜曲(Serenade)


繋いだふたつの手のように

絡み合う運命の螺旋

鏡の向こう側で鍵を重ねたら

終わりの先が見えるのかもしれない

かかげたふたつの手のように

求め合う悠久の螺旋

虚飾の月は翳りやがて終焉を告げる

白と黒の回帰線


『黑鍵(Ebony)は死の螺旋を描き』

「白鍵(Ivory)は生の螺旋を描く」


『幾千の夜を越えて、旋律(Melody)は優しく降り積もる』

「生命の律動を奏で、そっと囁くように」


『そして、歪みはやがて空へと至り……

空想白夜/少女病-偽典セクサリス

降り続くeternal snow 冬に閉ざされた都市

静謐なeternal white 空に一番近い場所


『この都市の少年達は季節の移ろいを知らない』

「この都市の少女達は甘美な微風を知らない」


『まるで呪いのように降り続く雪の音は春死音』

「荘厳にして凄愴なる深遠の調べ」


『白夜を越えていく、ふたつの影』

「悠久を越えていく、ひとつの魂」


キミが憂うのは 翳りゆく虹彩

指先まで凍りそうな 灰白のPlateau

キミに似合うのは 雪解けの待雪草(Snowdrop)

鮮やかに光る草の葉 抜けるように青空

雪に塗れて青ざめた いとおしいユリシア

いつまでも、離さない


上手く笑えなくなってしまった僕らは

灰暗い冬に包まれ

白夜の向こう、彼方強く見据えた

黎明の鐘が鳴り止むまで


あの高台から 両手を広げて

瞬く星に手を伸ばしてみたら

比喩や誇張なんかじゃなくて ほら

掴めそうさ


不意に空虚になってしまった言葉は

永劫の冬を纏って

白夜の向こう、鐘の音に掻き消えた

咲かぬまま朽ちる花のように


雪に塗れて心まで いつか埋まれそうで

逃げるように、走り出す


上手く笑えなくなってしまった僕らは

灰暗い冬を抜け出し

白夜の向こう、遥か遠く目指した

不確かな空想を敷衍して


『空想白夜』

蒼を受け継ぎし者/少女病-偽典セクサリス

「この星で最も青く美しいとされる海を見渡せる土地。

その土地を代々統治する地方領主の息子。蒼を受け継ぎし者、ライザ。

誰よりもその景色を愛し、その輝きに魅入られた青年。

日々蓄積されていく、張り詰めた狂気な色」


蒼を受け継ぎし者

見据えるは美しい 何よりも青い海

彼方に舞う幻想

変わらないものがこんなに傍で

揺らめいているなら

その奇跡にほんの少しでも

寄り添いたい


ずっと蒼ざめた 光の海の中で

たとえそれがどんな禁忌だとしても

その手を穢すことさえ決して厭わずに

蒼のため壊してゆけ!


「ライザとその妹達は、その蒼を永遠に見ていたいと願った。

そのために古の伝承に残る不死の呪術に手を染めてしまう。

それは、血の犠牲を伴う禁断の儀式。

力なく横たわる躯の先に、求める永遠はあるのだろうか?」


澱みなく澄んだ音

響くのは夜明け前 どこまでも青い海

水面に舞う幻想

永遠にこの蒼と向き合って

生きていくためなら

それ以外の全てを紅に 

捨ててもいい


ずっと蒼ざめた 光の海の中で

たとえそれがどんな禁忌だとしても

その手を穢すことさえ決して厭わずに

蒼のため壊してゆけ!


「いつしかライザは不死のことなど忘れ、ただ貪欲に血を求め続けた。

高揚する感情は紅に染まり、蒼を受け継ぎし者の右手は、今宵も血に煌く……」


いつか紅に 染まる意識の中で

澄んだ蒼の景色が形を変えてく

僕が見てたかった蒼とあの永遠は

沈む月のようにやがて姿を消した……


「次第に遠のいていく意識の中、最後に瞳に映ったのは、倒れふす二人の妹の姿。

血に呪われたライザの頬を伝う涙の色もまた、紅に彩られていた……」


「蒼は紅蓮に堕ちていく……」