「光を通さぬ漆黒の髪。
感情を閉じ込めた昏い瞳。
国の唯一の後継ぎとして寵愛を受けた彼女は、心まで暗闇に染められているかのようで…。
黒雪姫[Noire Neige]と呼ばれる少女は誰にともなく問いかける。
“この国で一番美しいのは、だあれ―――?”
答えを誤ることは、赦されない。
従うことだ」
「生きて、いたいのなら」
誰もが囁くの あなたこそが
この国で一番美しいわと
だからねぇ―――私よりも綺麗な存在なんて
あってはならない いらないの
積み上げられた犠牲者達 罪深き 亡骸
夢見がちな黒雪姫[Noire Neige]
漆黒に赤い死の口紅を引く……
壊して… 壊して ねぇ
どんな悲しそうな 死に顔だって
燃やしてしまえば 明日にも忘れてしまうわ
呪われし忌み子と持て余され 黒雪姫は両親に決断させる
「あの娘は、呪われてる。私たちのこの国を委ねることはできない」と
最期の刻は深い森で 凄惨な事故を
装われて黒雪姫 その命若くして閉ざされる
「どうして…、どうして、ねぇ?
一番美しい私こそ誰より幸せになれる権利を持ってるでしょう―――?」
「もう一度新しい子を、つくりなおせばいいさ」と
失敗作は殺された
上辺だけでも愛注がれ 花のように育ち
砕け散った黒雪姫 死してなおどこまでも美しく…
ずっとずっと 永久に咲き誇ろう
少女の墓標 その周りには黒き花どこまでも広がり
存在を誇示し続けるだろう
「新しく生まれた赤子は真っ白な髪に、雪のような白い肌をしていた。
優しく朗らかな子に育ち、いつしか白雪姫[Blanche Neige]と呼ばれるようになる。
よく晴れた日。少女は家族で森へ散策にと出かけた。
奇しくも黒雪姫が命を落とした墓標の近く。
白雪姫は、普段と変わらぬ優しい笑顔で両親に問いかける」
「この場所で、また私を殺すの?
何度やっても無駄なのに――――」
「時が経ち、少女はいつしか“魔女”と呼ばれる存在となる。
やがて国は滅び、その後には黒い花の咲き乱れる、深く仄暗い森だけが広がったという…」
2009年9月12日土曜日
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