2009年8月3日月曜日

エルの楽園 SIDE:E/SOUND HORIZON-Elysion楽園幻想物語組曲

「私は生涯彼女を愛する事は無いだろう。

しかし彼女という存在は私にとって特別な意味を払うだろう。

何故なら生まれてくる子の名前は遠い昔にもう決めてあるのだから」


『これで、幾度目かの楽園の扉が開かれる』


白い大地に赤い雫で描かれた軌跡 罪の道標

古びたコイン握り締めたまま

這いずりながらも男は笑った


巡る程に浮かんでくる

愛しい笑顔すぐそこに

無限の果てに手を伸ばすように扉に手をかけた


『そして、彼の記述は朽ち果てる』


少女が小さく堰をする度

胸の痛みが春を遠ざける

ボロイ毛布でも夢は見られる

愛を知った日の温もり忘れない


眠るように沈んでいく

愛しい世界みなそこに

無限の果てが手を招くように扉は開かれた


『そして、彼女の現実は苦楽する』


「ねぇ、パパ その楽園ではどんな花が咲くの?」

「ねぇ、パパ その楽園ではどんな鳥が歌うの?」

「ねぇ、パパ その楽園では體はもう痛くないの?」

「ねぇ、パパ その楽園ではずっと一緒に居られるの?」

「ねぇ、パパ」


『窓を叩く夜風。弾む吐息。薄暗い部屋。悲しそうな談笑。

虚ろな月明かり。白い吐息。薄汚い部屋。痩せた膝の少女。

幾度となく繰り返される問い掛け。盡きる事の無い楽園への脅威。

ああ、少女にはもう見えていないのか。

傍らに橫たわるその死體が』


「ねぇ、パパ?」

「なんだいエル?」

「明日は何の日か知ってる?」

「世界一で可愛い女の子の誕生日」

「私ね、お誕生日プレゼントは絵本が良いと思うわ」


Lost 男の夢想は殘酷な現実となり

Lost 少女の現実は幽玄な夢想となる

Lost 男の楽園は永遠の奈落となり

Lost 少女の奈落は束の間の楽園となる


「パパ、その楽園ではどんな戀が咲くの?」

「ねぇ、パパ その楽園ではどんな愛を歌うの?」

「パパ、その楽園では心など痛くないの?」

「ねぇ、パパ その楽園ではずっと一緒に居られるの?」

「ねぇ、パパ その楽園ではどんな花が咲くの?」

「ねぇ、パパ その楽園ではどんな鳥が歌うの?」

「ねぇ、パパ その楽園では體もう痛くないの?」

「ねぇ、パパ その楽園ではずっと一緒に居られるの?」

「ねぇ、パパ」

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